今年も読みました

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

毎年8月には意識して何か1冊読もうと思ってるんですが、今年は映画原作のこれを読みました。
去年は「指揮官たちの特攻」で飛行機でしたが、今回は人間魚雷「回天」です・・・人間魚雷、何て響きでしょうねぇ。
「指揮官・・・」と違って、つい最近まで大学野球をやっていた大学生が特攻隊員になってしまう話なので、主人公の死への足掻きみたいなのが描かれていて、今の私よりはるかに年若い若者たち、軍事教育を受けていたとはいえ、本当はこういう心の葛藤、生への執着があったんだろうなぁと考えさせられました。
それにしても、「震洋」も「伏竜」も今回の「回天」も本当に非人間的。海の特攻兵器は特にそう感じます。
特攻隊員は特攻したら「神」になるわけですが、今問題の靖国問題も含めていろいろと考えさせられる作品です。
映画化では回天が映像化されるんでしょうけど、正視できないグロテスクさがあるのでしょうか・・・。
私は日本が好きですし、日本人であることに誇りも持っていますが、つい60年ほど前になぜこんな愚行を繰り返したのかを思わずにはいられません。